障害年金の「血液・造血器疾患」について、どのような基準で障害等級が決定されているのか分からず悩んでおりませんでしょうか?
血液・造血器疾患については、血液・造血器疾患用に「認定基準」が定められており、認定基準の中に、障害等級の判定について記載がされております。
このページでは、血液・造血器疾患の認定基準について、ご説明させていただきます。
その他の要件については、下記リンクよりご確認をお願いいたします。
■適用となる疾患例
再生不良性貧血、溶血性貧血、血小板減少性紫斑病、凝固因子欠乏症、白血球、悪性リンパ腫、多発性骨髄腫など
■認定基準
令別表 | 障害の程度 | 障害の状態 |
---|---|---|
国年令別表 | 1級 | 身体の機能の障害又は長期にわたる安静を必要とする病状が前各号と同程度以上と認めれれる状態であって、日常生活の用を弁ずることを不能ならしめる程度のもの |
2級 | 身体の機能の障害又は長期にわたる安静を必要とする病状が前各号と同程度以上と認められる状態であって、日常生活が著しい制限を受けるか、又は日常生活に著しい制限を加えることを必要とする程度のもの | |
厚年令 別表第1 | 3級 | 身体の機能に、労働が制限を受けるか、又は労働に制限を加えることを必要とする程度の障害を有するもの |
〔解説と具体例〕
1級
身のまわりのことはかろうじてできるが、それ以上の活動はできないもの又は行ってはいけないもの。
病院内の生活であれば、活動の範囲がベッド周辺に限られるもの、家庭内の生活であれば、活動の範囲が就床室内に限られるものをいいます。
「日常生活の用を弁ずることを不能ならしめる程度」
他人の介助を受けなければほとんど自分の用を弁ずることができない程度のものをいいます。
2級
家庭内の極めて温和な活動(軽食作り・下着程度の洗濯等)はできるが、それ以上の活動はできないもの又は行ってはいけないもの。
病院内の生活であれば、活動の範囲が病棟内に限られるものであり、家庭内の生活であれば、活動の範囲が家屋内に限られるものをいいます。
「日常生活が著しい制限を受けるか又は日常生活に著しい制限を加えることを必要とする程度」
必ずしも他人の助けを借りる必要はないが、日常生活は極めて困難で、労働により収入を得ることができない程度のものをいいます。
3級
労働することはできるが、健常者と同等に労働することができないものをいいます。
■認定要領
自覚症状、他覚所見、検査成績、一般状態等により、総合的に認定されます。
〔検査項目〕
血球算定検査、血液生化学検査、骨髄穿刺、染色体検査、遺伝子検査、凝固系検査、画像検査など
〔一般状態区分〕
区分 | 一般状態 | |
---|---|---|
ア | 無症状で社会活動ができ、制限を受けることなく、発病前と同等にふるまえるもの | |
イ | 軽度の症状があり、肉体労働は制限を受けるが、歩行、軽労働や座業はできるもの 例えば、軽い家事、事務など | |
ウ | 歩行や身のまわりのことはできるが、時に少し介助が必要なこともあり、軽労働はできないが、日中の50%以上は起居しているもの | |
エ | 身のまわりのある程度のことはできるが、しばしば介助が必要で日中の50%以上は就床しており、自力では屋外への外出等がほぼ不可能となったもの | |
オ | 身のまわりのこともできず、常に介助を必要とし、終日就床を強いられ、活動の範囲がおおむねベット周辺に限られるもの |
各等級に相当すると認められるものは、下記のとおりになります。
障害の程度 | 障害の状態 |
---|---|
1級 | A表Ⅰ欄のうち、いずれか1つ以上の所見があり、B表Ⅰ欄のうち、いずれか1つ以上の所見があるもので、かつ一般状態区分表のオに該当するもの |
2級 | A表Ⅱ欄のうち、いずれか1つ以上の所見があり、B表Ⅱ欄のうち、いずれか1つ以上の所見があるもので、かつ一般状態区分表のウ又はエに該当するもの |
3級 | A表Ⅲ欄のうち、いずれか1つ以上の所見があり、B表Ⅲ欄のうち、いずれか1つ以上の所見があるもので、かつ一般状態区分表のイ又はウに該当するもの |
①再生不良性貧血、溶血性貧血等
A表
区分 | 臨床所見 |
Ⅰ |
|
Ⅱ |
|
Ⅲ |
|
B表
区分 | 検査所見 |
---|---|
Ⅰ |
(1)ヘモグロビン濃度が7.0g/dL未満のもの (2)網赤血球数が2万/μL未満のもの
(1)白血球数が1,000/μL未満のもの
|
Ⅱ |
(1)ヘモグロビン濃度が7.0g/dL以上9.0g/dL未満のもの (2)網赤血球数が2万/μL以上6万/μL未満のもの
(1)白血球数1.000/μL以上2.000/μL未満のもの (2)好中球数が500/μL以上1,000/μL未満のもの
|
Ⅲ |
(1)ヘモグロビン濃度が9.0g/dL以上10.0g/dL未満のもの (2)網赤血球数が6万/μL以上10万/μL未満のもの
(1)白血球数が2,000/μL以上3,300/μL未満のもの (2)好中球数が1,000/μL以上2,000/μL未満のもの
|
②血小板減少性紫斑病、凝固因子欠乏症等
A表
区分 | 臨床所見 |
Ⅰ |
|
Ⅱ |
|
Ⅲ |
|
B表
区分 | 検査所見 |
---|---|
Ⅰ |
|
Ⅱ |
|
Ⅲ |
|
③白血球、悪性リンパ腫、多発性骨髄腫等
A表
区分 | 臨床所見 |
Ⅰ |
|
Ⅱ |
|
Ⅲ |
|
B表
区分 | 検査所見 |
---|---|
Ⅰ |
|
Ⅱ |
|
Ⅲ |
|
以上が「血液・造血器疾患」についての、認定基準等になります。
障害年金は、障害状態に該当していなければ、受給することはできません。認定基準を理解し、障害状態に該当しているかどうか、しっかりと確認をしておきましょう。
障害年金の請求手続は、提出書類の用意や作成に多くの時間と労力を要すること、また何よりも、障害年金制度が複雑であることから、準備した書類が不本意なものになることがあります。
これにより、本来受給することができたであろう年金が受給できない(遡及して障害年金を受給できる可能性があったにもかかわらず、受給できない)といったことが生じてしまいます。
もちろん、最初の手続で審査が通らなかった場合、再請求や不服申立てを行うことはできますが、最初の申請よりも、当然審査のハードルは高くなります(最初の申請がとても重要です)。
埼玉県桶川市の山内社会保険労務士事務所所では、審査基準に関する知識、ポイントを押さえた書類作成等を十分に活用することで、受給の可能性を上げることに尽力いたします。
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