脳出血、脳梗塞による後遺症(麻痺)で障害年金を申請する際に、どのような基準で障害等級が決定されているのか分からず、悩んでおりませんでしょうか?
肢体障害については、肢体障害用に「認定基準」が定められており、認定基準の中に、障害等級の判定について記載がされております。
このページでは、肢体障害の認定基準、その他申請時のポイントや受給例について、ご説明させていただきます。
その他の要件については、下記リンクよりご確認をお願いいたします。
■対象となる疾患例
脳出血、脳梗塞、脊髄損傷等による肢体の機能障害など
■認定基準
肢体の機能の障害の認定基準は、下記のとおりになります。
1級 | 身体の機能の障害又は長期にわたる安静を必要とする病状が前各号と同程度以上と認められる状態であって、日常生活の用を弁ずることを不能ならしめる程度のもの |
2級 | 身体の機能の障害又は長期にわたる安静を必要とする病状が前各号と同程度以上と認められる状態であって、日常生活が著しい制限を受けるか、又は日常生活に著しい制限を加えることを必要とする程度のもの |
3級 | 身体の機能に、労働が著しい制限を受けるか、又は労働に著しい制限を加えることを必要とする程度の障害を残すもの |
(1)肢体の障害が、上肢および下肢などの広範囲にわたる障害(脳血管障害、脊髄損傷等の器質障害等)の場合には、「上肢の障害」、「下肢の障害」、「体幹、脊柱の機能障害」それぞれの認定基準、認定要領ではなく、「肢体の機能の障害」として認定します。
(2)肢体の機能の障害の程度は、関節可動域、筋力、巧緻性(こうちせい)、速さ、耐久性を考慮し、日常生活における動作の状態から身体機能を総合的に認定します。
末梢神経損傷を原因とし、関節を可動させる筋が弛緩性(ちかんせい)の麻痺となっているものなど、他動可動域による評価が適切でないもについては、筋力、巧緻性、速さ、耐久性を考慮し、日常生活における動作の状態から身体機能を総合的に認定します。
(3)各等級に相当すると認められる例
1級 |
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2級 |
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3級 | 一上肢及び一下肢に機能障害を残すもの |
(4)日常生活における動作と身体機能との関連は、厳密に区別することはできませんが、概ね下表のとおりです。
①手指の機能
(ア)つまむ(新聞紙が引き抜けない程度)
(イ)握る(丸めた週刊誌が引き抜けない程度)
(ウ)タオルを絞る(水をきれる程度)
(エ)ひもを結ぶ
②上肢の機能
(ア)さじで食事をする
(イ)顔を洗う(顔に手のひらをつける)
(ウ)用便の処置をする(ズボンの前のところに手をやる)
(エ)用便の処置をする(尻のところに手をやる)
(オ)上衣の着脱(かぶりシャツを着て脱ぐ)
(カ)上衣の着脱(ワイシャツを着てボタンをとめる)
③下肢の機能
(ア)片足で立つ
(イ)歩く(屋内)
(ウ)歩く(屋外)
(エ)立ち上がる
(オ)階段を上る
(カ)階段を下りる
(5)身体機能の障害の程度と日常生活における動作の障害との関係を参考として示すと、下表のとおりです。
①「用を全く廃したもの」…上記(3)表の「1級:障害の状態」
日常生活における動作のすべてが「一人で全くできない場合」、又はこれに近い状態。
②「機能に相当程度の障害を残すもの」…上記(3)表の「2級:障害の状態」
日常生活における動作の多くが「一人でできない場合」、又は日常生活における動作のほとんどが「一人でできるが非常に不自由な場合」。
③「機能障害を残すもの」…上記(3)表の「3級:障害の状態」
日常生活における動作の一部が「一人で全くできない場合」、又はほとんどが「一人でできてもやや不自由な場合」。
脳出血、脳梗塞による肢体麻痺で障害年金を申請する際のポイントについて、ご説明させていただきます。
【初診日、障害認定日の確認】
脳出血、脳梗塞は、緊急搬送された医療機関で処置を受け、その後リハビリ病院へ転院といった経過をたどることが多いため、障害年金上の「初診日」は、緊急搬送された医療機関、「障害認定日」は、左記の初診日から1年6カ月経過した日になるかと思います。
ただし、脳血管障害の場合については、障害認定日の特例が認められていますので、症状固定(治ゆ、又はこれ以上症状回復の見込がない)が認められる場合、障害認定日が「症状固定した日」になる場合があります。
【障害状態の確認】
障害状態の判断については、上記の認定基準、認定要領から診断書⑱欄「日常生活における動作の障害の程度」で大方の見立てができるかと思います。
〔一上肢と一下肢〕
1級:左右どちらかの手足が「×」で揃う場合
2級:左右どちらかの手足が「△×」で揃う場合
3級:左右どちらかの手足が「〇△」で揃う場合
〔四肢〕
1、2級:四肢が「△×」で揃う場合
3級:四肢が「〇△」で揃う場合
上記のことから、診断書⑱欄「日常生活における動作の障害の程度」は、重要な箇所になりますので、診断書を作成依頼する際には、医師にきちんとお伝えすることをおすすめいたします。
ご請求者様の奥様よりお問合せをいただき、障害年金の手続を代行させていただきました。
脳出血(左視床出血)により、右上下肢麻痺と軽度の高次脳機能障害、嚥下障害を患っておりました。
就労が不可能な状態で、日常生活にも大きな支障があり、ご家族の方や、介護事業者の方から介護を受けている状態でした。
ご面談時に、病状や日常生活状況等を詳しくお伺いし、診断書作成依頼をいたしました。
審査機関からの照会等もなく、申請から2カ月ほどで無事に障害厚生年金2級が支給決定されました。
以上が脳出血、脳梗塞による肢体麻痺についての、認定基準等になります。
障害年金は、障害状態に該当していなければ受給することはできません。認定基準を理解し、障害状態に該当しているかどうか、しっかりと確認をしておきましょう。
障害年金の請求手続は、提出書類の用意や作成に多くの時間と労力を要すること、また何よりも、障害年金制度が複雑であることから、準備した書類が不本意なものになることがあります。
これにより、本来受給することができたであろう年金が受給できない(遡及して障害年金を受給できる可能性があったにもかかわらず、受給できない)といったことが生じてしまいます。
もちろん、最初の手続で審査が通らなかった場合、再請求や不服申立てを行うことはできますが、最初の申請よりも、当然審査のハードルは高くなります(最初の申請がとても重要です)。
埼玉県桶川市の山内社会保険労務士事務所所では、審査基準に関する知識、ポイントを押さえた書類作成等を十分に活用することで、受給の可能性を上げることに尽力いたします。
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